最近読んだ本・・・『傷はぜったい消毒するな』 夏井睦 (著)/光文社新書など〜


『傷はぜったい消毒するな』  夏井睦 (著)/ 光文社新書

ケガをしたら、消毒して乾かす、が世間の常識。
しかし著者によれば、消毒は「傷口に熱湯をかけるような行為」だという。
傷は消毒せず、乾燥させなければ、痛まず、早く、しかもきれいに治るのである。
著者は、今注目の「湿潤療法」を確立した形成外科医である。
その治癒効果に驚いた医師らにより、湿潤療法は各地で広まっている。
しかし肝心の大学病院などでは相変わらず、傷やヤケドを悪化させ、治りを遅らせ、患者に痛みと後遺症を強いる旧来の治療が行われている。
なぜ、医学において生物学や科学の新しい成果は取り入れられないのか。
本書では医学界の問題点も鋭く検証。
さらに、生物進化の過程をたどりつつ見直した、皮膚という臓器の持つ驚くべき能力について、意欲的な仮説を展開しながら解説する。

この本は2009年発行なのでもう「湿潤療法」は一般的になっているのかどうか。。。あまり医者にかからないのでわからないのですが、、、確かにテープタイプの絆創膏が普通に売られているようです。

パラダイムシフトに関する記述は本当にそうなんだ!とあらためて驚きと納得でした。

パラダイムとは「ある時代や分野において支配的規範となる【物の見方や捉え方】のこと」・・・簡単に言えばその時代の人々が皆、正しいと信じていたこと。
例えば、地動説から天動説にパラダイムがシフトするまで、ゆうに170年もの年月がかかったとのこと。
それまで信じられてきた説に異を唱えることはその専門化が間違っていたということを認めざるをえないとなれば激しい抵抗に会うことは必死で、これはどんな分野でも同じこと。。。
先入観を一番捨て難いのが専門家。素人はそもそも先入観もなければその分野の知識もない。なので専門家にとっては天地を揺るがすような大事件でも素人にはちょっと新しいアイデア程度でしかない。
つまり、新しいパラダイムを素人は受け入れやすく、専門家は専門家としての自分の地位を守るために懸命になって拒否する。このためパラダイムシフトの真っ只中では、素人が専門家より知識の面で先を行って最新の情報を享受し、専門家は古い知識(=旧パラダイム)にしがみつくことになる。。。
何だかいろんなことに思いあたりますね。。。

著者は10年ほど前までは従来の熱傷治療を行ってきた一人であったが「湿潤治療」を手探りで始め、こんなに簡単な方法で治るならあっという間に広がるだろう、と思ったそうですが、思いのほか専門家や学会からの抵抗にあったそうです。
ある程度の火傷や切り傷などはこの方法で素人が家庭で出来る、医療費の抑制にもなる、、、なのにそれを許さない仕組みになっているのです。。。

ただ、このパラダイムシフトがすんなり移行する過程は意外にも簡単で、最初は新しい考えの噂がちょっと広がる程度でいい。人間は基本的に新し物好きなので、時代遅れで爺むさい学問というレッテルが貼られたら学問としては後継者がいなくなり、やがて衰退する。。。

時代は常にこうして進化してきたことは確かで、これからもずっとそうなのだと思います。。。

後半の「皮膚と傷と細菌の絶妙な関係」「生物進化の過程から皮膚の力を見直すと・・・脳は皮膚から作られた!?」も大変興味深く読みました。


日本人の知らない日本語3 祝! 卒業編 』蛇蔵 (著), 海野凪子 (著) /メディアファクトリー

大ベストセラー『日本人の知らない日本語』最新刊!
笑って学べる日本語コミックエッセイは、ついに第三弾!
今回は、桜の季節に先駆けて「祝! 卒業」編。
あの人気キャラの卒業エピソードが読めるかも。

このシリーズ、1から読みましたが本当に面白い。
でも段々とネタがなくなってきたかな?
次回はヨーロッパへ! ベルギーの日本語教科書が貝原益軒の『養生訓』だというからすごい!
楽しみです〜^^